【R60 パワーアップ編 12】


「Road to DVD!」でも書きましたが、如何せん今のR60はパワー不足のようです。特にDVD-Videoを検討すると、処理能力がかなり大きなネックになりそうですので、その向上を図るべく、CPUを現在のPentium3-700MHzから再交換してみます。


1.CPUを物色する  (2002.03.03 記載)

R60のM/Bには、基本的にFSB100・Slot1のCPUならポン付けが可能です(あ、BIOSは3004Uにアップしておきましょうね、念のため)。この条件で、現時点で考えられる最高クロックのものはというと、Pentium3-1GHz になります。既に市場はP4-2.2GHzとかまで上がってるんですけどねぇ(^^;) もちろんM/Bを交換すればP4も搭載できるんでしょうが、個人的にはそこまではちょっと・・・ と考えているので、選択の余地は無くこのP3-1Gになるんですが、既にSlot1のCPUなんて探さないと(探しても!?)なかなか見つからない状態なので、ちょっと悩んでしまいますねぇ・・・ 当然、需要と供給のバランスでSlot1最高クロックの1GHzは不必要に割高になってますし。現時点での価格は、店頭(通販)で2.6K円程度(この値段は価格.comを使うと調べやすいですね)、オークションでも2.3K円程度です。
ここで、Slot1のM/BにFC−PGAタイプのCPUを装着できるようにする『下駄』が存在しますので、これを使用すれば選択肢が大幅に広がることになります。最近ではPowerLeap製の「PL-iP3/T」なんていうTualatinコア対応のものも発売(日本の代理店はLONTECです)されていますし、Celeronなら1.2GHzや1.3GHzのものも手に入りますからね。
ただ、この1.2GHzですが、「対応」と謳っているモノの、VAIOちゃんでは動かないケースが多々あるみたいなんですよ(-_-) 一つはこの下駄「PL-iP3/T」の供給する電圧が低すぎるらしいこと。この結果として、クロックにかかわらずTualatinコアそのものが動作しない可能性があります。もう一つは、BIOS(R60の3004U)側が倍率「x10」までしか対応できないこと。R60は本来FSB66なんですが、FSB100のCPUを使用した場合には自動的にFSBが100に切り替わるらしいのです。しかし、倍率が「x10」までに限定されると、100x10=1000MHz=1GHzまでしか対応できないことになります。これらを換言すると、
「下駄をはかせても使えるのは周波数1GHzまでのCPUで、しかもTualatinコアは不可らしい」ということになります。この条件でCPUを探すと、CoppermineコアのCeleron-1GHz(ちなみにTualatinコアには型番の最後に「A」がついています)が7K円位、下駄が安いものなら2K円程度(但し、上記の「PL-iP3/T」は5〜6K円)ってところだと思います。P3-1GHzに比べるとコストパフォーマンスは圧倒的に良いのですが、如何せんCoppermineコアのCeleronだと・・・(^^;) TualatinならP3にも匹敵するみたいなんですけどねぇ・・・ 加えて、下手な下駄を乗せると狭いR60の筐体の中で電源BOX辺りに干渉することもあり得るようです。これも危険ですねぇ・・・ できれば余計なパーツは使いたくないですしね・・・
というわけで、今回は「P3-1GHz Slot-1 FSB100」をチョイスしてやります。ん、下駄の人柱はやらないのかって・・・? 先立つモノがないのでパスさせて頂くですぅ(^^;)


2.CPUを比べてみる  (2002.03.08 記載)

ちなみに、P3-1GHzは例によってオークションでGET(^^;) どうも通販は良いイメージが無くて・・・ これ以上のCPUクロック数向上が望めない以上、R60は今回のP3-1GHzと心中することになるので、中古というのにやや抵抗はあったのですが、店頭在庫なんかほとんど無いみたいだしなぁ なんて考えてサクっと決めてしまいました。もちろんちゃんと動作しますよ〜
で、交換の前に、ちょっと今までのP3-700と比べてみましょう。

もちろんサイズは
同じです(^^;)
同じSlot1ですからね。
色も同じ・・・と思ったら
横から見ると
明らかに違う部分が
ありますね。
そう、これはヒートシンクなんです。

当然ですがクロック数が上がれば使用電力も上がり(今回は1.65V→1.70Vになっています)、その分発熱もアップします。そのために熱伝導率の高い素材でヒートシンクが作成されているようですね。明らかに触った感じが違います。1GHzはまず間違いなくアルミ製です。一円玉と同じですから分かるんですぅ(←貧乏)。700は・・・う〜ん、判らないですぅ(^^;)
ちょっとここでお勉強を・・・

素材 熱伝導率 比重 主な金属とその熱伝導率&比重です。かなりアバウトですが(^^;)
銅とアルミはよく「熱効率が良い」ということでPCパーツなどに使われますが・・・

アルミの特徴は、「熱が伝わりやすく軽いこと」ですね。後は錆びやすいことかな。
熱伝導だけなら銅の方が圧倒的に上ですが、その分アルミの3倍以上も重たい
んです。一円玉と十円玉って随分重さが違いますよね。銅ってば鉛に次ぐほど
重いらしいです。で、熱は分子の振動なので・・・ 文系なのでギブアップ!!
なお、この表からは分かりませんが、銅は金属としてはかなり柔らかい
部類に入りますので、精密なパーツや重量を支える部分には使用しにくい
ハズです。PCパーツだと、銅はヒートシンク、アルミはPCケース等に
使われることが多いと思いますが、こんな理由があったんですねぇ
0.99 10.5
0.92 8.9
アルミ 0.56 2.7
0.17 7.7
ステンレス 0.04 7.9

ってな訳でアルミ製のヒートシンクになった(と思われる)P3ですが、なんで銅じゃないんでしょうね。自作パーツとかではよく「高級銅製ヒートシンク搭載」とかって・・・ あ、銅の方が高いのかな・・・値段が・・・ でもこういうモノって相場制じゃないのかな・・・ んーんと、銅とアルミの相場って1割くらい銅が高いくらいだなあ・・・ 加工はアルミの方が難しいハズだし(堅いですからねぇ)・・・ まあ、よく分からないですが、あるとすれば銅にしたら3倍重くなるので、M/B側のスロットに負荷が掛かって故障の原因になるかも知れないことと、熱効率&価格のトレードオフでアルミ製になったんでしょうね、きっと(^^;)



3.CPUを交換する  (2002.03.12 記載)

では、実際にCPUを交換してみます。作業はとっても簡単です。例によって電源BOXを外したところからスタートします。

相変わらず筐体の中はぐちゃぐちゃですねぇ(^^;)
向かって右側がR60の前面側、左が裏側、上下はそのままです。
中央やや左側にある黒い直方体の部分がCPU(P3-700)です。
CPUに寄ってみました。
リテールFANとそこから延びる電源コードが確認出来ますね。
CPU上端部の拡大写真です。
CPU本体の直ぐ上にFAN用の電源コードを接続するコネクタがあります。
写真クリックで場所の解説が入った大きな写真が見られますよ。
ここのコネクタって結構判りにくい位置にあったりするんですよねぇ
で、実際の交換に入りますが、まずこのCPU-FAN用のコネクタを外しましょう。
本体が先でも良いんですが、どうも忘れて引きちぎってしまいそうなので・・・
M/Bに『CPU FAN』の文字があるのが判りますね。
(写真クリックでその文字にアンダーラインを引いた大きな写真が見られますぅ)

Slot1のCPUは巨大メモリみたいな形の上、メモリのような形で装着されているので、FAN用のプラグさえ外してしまえば後はまっすぐ上に引き抜けば外すことが出来ますが、メモリ同様にストッパーのような役目をしている部分があるので、ココを外すように押してやる必要があります。

コレはすでにCPUを外した後の画像ですが、この黒いプラ製のパーツがCPU
を引っかけるような形で固定しています。文字だと判りにくいですが、
このプラパーツの内側の逆U字型の部分がCPUヒートシンクの張り出し部分を
ホールドするような形になります。なお、特に(メモリスロットのように)ロック
機構があるのではなく、単にプラの弾性で押さえるようになっています。
CPUを外すときはこの逆U字部分を細い棒のようなモノで外側に押し開いててやり、
真上にそうっと(結構堅いですけどね・・・)CPU本体を引き上げることになります。
コレもCPUを外した後の画像です。
CPUスロットの上下2ヶ所に上で書いたプラパーツがあります。
両方を上手く外して(というより「緩めて」かもしれません)からCPUを引き抜く
ことになりますね。
PCの心臓部なので慎重に行きましょう!
外した後はその逆に差し込むだけです。
プラパーツは意識しなくても自動的にCPUを噛んでくれますので
まっすぐ指せばいいだけですね。
アルミ製のヒートシンクが誇らし気ですねぇ!

そうそう、CPU-FANのコネクタを指すのを忘れないようにしましょうね。指さないとFANLESS状態!!になりますから、まず違いなく熱暴走しちゃいます〜(^^;)


4.ベンチマーク&温度  (2002.03.17 記載)

で、無事に交換出来たP3-1GHzですが、例によって HDBENCH Ver 3.30 でベンチを取ってみました。

ALL Integer Float
P3-700 3,986 31,927 31,838
P3-1000 5,701 45,688 45,513
UP率 43.0% 43.1% 43.0%

クロック周波数は700→1000になっていますので、単純に1000/700で43%も速度アップが期待出来ることになるんですが、ほぼその期待値通りの結果が出ました。これだけ違うと、はっきりと体感出来ます。純正のCele466からP3-700にアップしたときと同じ位の感動ですねぇ(^^)/ まあ、この時はFSBも66から100に自動的にアップしてますんで、クロック周波数の増分とFSBの増分だけで2倍以上の速度アップをした上に、CPUそのものの性能(キャッシュとかですね)アップもありましたから、もっと劇的に速くなっているはずなんですけどね。具体的に言うと、個人的に一番目に付いたのは、Gigaの録画・再生の時に他の作業をさせたときのPC全体の動作が改善されたってことですねぇ。以前のCeleからの時は、アンチウィルスソフトのアップデート実行が異常に速くなったように記憶していますが・・・ まあ、いずれにしてもコレでGigaマシンになったことだし、もうしばらく現役続行です、R60ちゃん!!

っそうそう、発熱量の多いP3-1GHzに交換していますから、当然「熱」が気になりますね。またまた例によって温度を見てみましょう。

今回も電源FAN交換した前回同様
『Speed Fan』のモニタリング画面で
見てみました。

条件はこれまた前回同様で
『3〜4時間ネットに繋いでWEBを
彷徨った後。特にCPUに高負荷を
掛けるような作業はなし』というもの
です。

これまた殆ど差はないようですね。
Temp01だけ数度下がっていますが??

というわけで、熱的にも問題ないようですね。まあ、夏場こそちょっと気にはしてみますが、現時点で「柔らかいビニール製ホコリよけPCカバー」を付けたままGigaで録画予約をしても問題が起きていませんので、まず大丈夫でしょう。さあ、コレでMPEGファイルをDVD-Videoソースにエンコードしやすくなるかな!? オーサリングも速くなる・・・といいなぁ(^^;) あー、そうそう、この辺りは「Road to DVD!」を参照してくださいね〜



5.その他CPU動作報告
  (2009.12.30 記載)

偉く久々に更新しますが・・・ メールを頂いた方から他のCPUの動作報告を頂いたので追記しておきます。M/BはR60純正、BIOS:3004Uで、PIII-750MHz・FSB100・Slot1が動作したとのことです。SL3V6の方なのでステッピングはcA2の方ですね。コア倍率が整数倍ではなかったのが気になったんですが、これだと850MHzも行けそうですね〜