【フラットベッドスキャナ CanoScan 8400F】

 

1.チョイス (2005.06.02)

ここで紹介した通り、ネガフィルムのデジタル化をフィルムスキャナ「DiMAGE Scan Dual IV」で進めてきたんですが、やはりというか予定通りというか、ネガの無いプリント写真が結構でてきました(^^;) 更に、極少量ですがブローニー版のネガがあるので、これも取り込んでやりたかったんですよね・・・ ってことで、フィルムスキャン(もちろんブローニー対応)が出来るそれなりのフラットベッドスキャナに手を出すことにしました。購入前の時点で‘み’のスキャナは数年前の製品、Canonの「Canoscan 1210U」という機種で、たまに雑誌とかをスキャンする程度の用途で十二分に機能していたんですが、流石に1200dpiですし、紙焼き写真をスキャンすることを考えて褪色復元機能も欲しい、出来れば複数写真を一度にスキャンしたい・・・とか考えていくと、今の1210Uではちょっと・・・ということで、条件を満たすやはりCanonの「8400F」をチョイスしました。
特に紙焼き写真に対する機能として、逆光補正や褪色補正、ごみ傷低減と粒状感低減など、基本的な機能は揃ってますからね〜 PDFファイルの作成も簡単に出来るみたいですし。ってPDFは自宅ではそれほど使いませんが・・・
あと、大きかったのは「ワンパスマルチスキャン」です。「最大10枚までの写真原稿を同時に、1枚ずつ分割した形でスキャンし、原稿の傾きも、自動的に補正」してくれるというスグレモノ。今回読み込もうと持っている紙焼き写真は数百枚単位なので、これがあるとないとでは大違いですからね〜 特に傾き補正がどの程度役に立つのかは分かりませんが、L版の紙焼き写真は127mmx89mm、8400Fのスキャンサイズが297mmx216mmなので・・・多分1度に4枚はスキャンできる・・・ハズです。作業時間短縮は嬉しい限りですね〜(^^)
あ、最上位機種の9950Fっていう選択肢(下位の5200Fはブローニーフィルム非対応なので除外)もあったんですが、やっぱりお値段が・・・(^^;)

で、いつもならオークションなどで探すところですが、どうもこの機種はそれほど売れ筋ではないようで、出品もまばらで、しかも殆どが業者さん・・・ 価格も量販店のポイントを考慮すると殆ど変わらなかったので、今回はオークションをパスしました。4月上旬のオークション相場が大体22,000円程度でしたが、‘み’が良く使うYodobashi.comもイマイチで25,800円の16%(3%ポイントアップキャンペーン中)だったんですが、Amazonが23,500円の3,000円クーポン付きだったので、Amazonのお世話になりました。
余談ですが、なんか最近イメージング系のデバイスはCanonづいてます。デジカメもキスデジS60ですし、プリンターも850i・・・ まあ、特に意図的に選別しているわけでもなく、自然発生的にこうなってきたので、悪いことではないんですが、今回の8400Fチョイスに当たっては操作系とか用語とかその辺が変わらない方が使いやすいだろうってことで、EPSONとかはほとんど検討しませんでしたからねぇ・・・



2.外観とセットアップ (2005.06.05)

で、届いた8400Fを早速開梱してみました。

付属品と記念撮影。
本体後ろ側のショット。

え〜、率直にデカイ&重いですね(^^;) フラットベッドスキャナは構造上、どうしても一端に重量が集中しますから、重く感じるのは止むを得ないんですけどね。持ったときにもバランス悪いですし。重量は兎も角、1210Uと比べてサイズが大きくなっているのは意外でした。1210Uは机の下に設置していたんですが、これまでは十分蓋の開閉が出来ていたところ、8400Fになると蓋が大きく(長く)なった分、机に引っ掛かって全開できませんでした(T_T) まあ、実使用上は多少ガマンすればOKなのでこのままで行きますが、現行機とリプレースを考えている方は同じようなチョンボをしないようにご注意ください。
デザインは黒ベースでシックな感じになっています。LEDもブルーなので、なんとなくですが高級感もあり。黒&青LEDならtypeRの横に置くとマッチするかもしれませんね〜 まあ、黒=大きさを誤魔化すって効果も否定できませんが(^^;) 後ろ側には動力パイプ?と思うような蓋部分と本体を接続するコネクタ(PS2ポートのようなコネクタ)があります。なんかここは退化しているように感じる&ちょっと不細工に感じますが・・・

あと、個人的にラッキーだったのはACアダプタが小さくて取り回しが割りと楽だったことと、スキャナ本体に物理的な電源スイッチがついたことが大きいですね。ACアダプタについては(詳しく書いていませんが)DualIVの時にデカくってちょっと困ったんですよねぇ・・・ あと、電源スイッチは1210Uには存在しなかったので、PC-USB-1210Uは常に接続しておき、使うときだけ1210U-ACアダプタ-電源を接続するというちょっとめんどくさい事になっていたので、これが解消されたことで気分的に楽になりましたね。



3.使用感 その1 (2005.06.16)

では、実際の使用感について少々。画質に関してはWEB上にサンプルが結構転がっているので、ここではアップしたりしません。ネガやプリントの画質に大きく影響されますしね。一応DualIVの問題で、ここにスキャン画像(35mmネガフィルム)を上げてありますので、気になる方はご覧下さい。
で、まずやってみたのがフィルムスキャン。というのも、フィルムのスキャンの際には、8400Fの本体(フタ裏側)についている保護パッド(透過原稿以外のスキャン時には付けたままでOK)を取り外す必要がある上、フィルムをホルダーにセットしたりすることになるので、この辺をさっさと片付けてしまいたかったんですよね。で、8400Fを選んだ大きな理由として、ブローニーフィルムのスキャンがあったので、早速これから試してみました。

設定はこんな感じで。
一応ネガのデジタル化が一番の目的で、この先何に使用するかは分からないので、dpiは最大の3200、リサイズも行わずに「フリーサイズ」、その他の褪色補正などはネガの状態によって使い分けって感じです。他に16bit設定などもできるんですが、DualIVでも8bitでスキャンしたことやファイルサイズ、作業時間などを考慮して8bitのままスキャンしました。この条件&‘み’の環境(P4-2.8CGHz、PC3200-Dual-512MB、WinXP)&PhotoShopCSのTWAIN機器としてスキャンすると、大体1枚あたり10分程度。このドライバでは「高画質化」という設定があり、これをオンにするとスキャン時間が大体2倍弱程度に延びます(スキャン速度そのものを下げているとか、2Passスキャンとかそんなことをやっているように思います)が、今回は個人的に充分満足できる画質でスキャンできたため、(ブローニーの場合はネガのサイズが大きいこともあるかもしれません)この設定はOFFのまま。運用上で1スキャン(5〜6枚)に2時間も掛かるとちょっとツライので、まあここは妥協したってところですねぇ

引き続き35mmネガフィルムもスキャンしてみました。・・・35mmはDualIVでスキャンし終わったはずだったんですが、後から数本のネガフィルムが発掘されまして・・・(^_^;)
設定はブローニーと基本的に同じ。サイズが違う分、同じ条件でスキャンしても掛かる時間は1枚あたり4分程度ってとこ。但し、35mmフィルムは12枚ホルダーにセットできるので、単純計算で48分掛かることに・・・ DualIVが最高画質設定でも6枚を10分程度でスキャンしてくれましたから、この差にはちょっと驚いてしまいましたねぇ・・・ まあ、餅は餅屋ってことですが・・・ ちなみに、高画質化設定をするとやはりスキャン時間が約4分→約7分と伸びます。あまりうれしくは無いんですが、枚数がそれほど多くなかったことも有り、今回はONにしてみました。明確に画質が変わったかというと・・・それほどはっきりわかるものではないってところでしょうかねぇ・・・

で、実作業で気になった点を少々。先ず作業時間は上記の通り。それなりに覚悟はしていましたが、結構苦痛です・・・(T_T) DualIVであらかた片付けていたからいいようなもの、全ての35mmフィルムをこれでスキャンすることを考えるとゾッとしますね〜(T_T)
あと、粒状感低減はフィルムのISOに合わせて強弱を設定してみたんですが、まあ効果はあまりよく分かりません。逆に、ホコリ除去はかなり有用です。空や雲、芝生など、割とのっぺりした場面にホコリが乗るとかなり目立ってしまうんですが、これをまあなんとか見られるレベルにまではしてくれます。まあ、厳密に言ったら見えなくなっているわけではないんですが、モノによっては見えなくなっているものもあるハズってレベルです。逆に、フラットベッド故にホコリが乗りってしまい易いのが気になりました。DualIVはスキャンするレンズ部分が剥き出しではないですし、フィルムそのものにホコリが付いていなければそうそうスキャン画像に写りこむことは無かったんですが、8400Fではフィルムが綺麗でも、ちょっとフィルムを替えたりする程度の時間でも直ぐに原稿台の方にホコリが乗ってしまいます。もちろんこれもしっかりスキャンしてくれますからねぇ・・・ 一応フィルムを替える度に原稿台のホコリを取り除くようにはしていますが、これでも100%除去はできませんから、ホコリ除去機能はとっても効果的なんですね。
褪色補正については、余り強くするとビビッド過ぎる感じになってしまってケバケバしい印象になるので、ほどほどにした方が良いかと思います。まあ、好みもあるのでお好みに応じて設定すればいいんですが、‘み’のようにPhotoShopなどに取り込む場合、そちらで補正したほうが好きに弄れますから、軽めに掛ける方がお勧めです。古い写真だと結構印象変わりますから、これは上手く活用して行きたい機能です。
あ、あとプレビューでは(拡大しても)写真の細かい描写はおろかピントの合い具合すら分かりませんので、イマイチな写真もスキャンしてからのチョイスが必要になりますので、時間的にはちょっともったいないですね。

画質に関しては云々しないといっておきながら・・・実は、特にホコリ除去や粒状感低減に関して、DualIVより良い印象を持っています。実際に粒状感を感じにくいのは8400Fの方ですし、細かいホコリもDualIVでスキャンしたものの方が目立っているように思います。餅は餅屋と書いたばかりなんですが・・・ ただ、よくよく画像を見比べてみると、ホコリが綺麗に除去された(ように見えたり)り、粒状感を感じない(ように見える)のは、8400Fの方がフォーカスが甘いというかレンズの解像度が低いというか・・・そんなことのように思えます。ピントが合っていない訳ではないんですが、シャープさに欠けると言うか、どことなく「眠い」ように見えます。短焦点の高性能レンズでの撮影写真と、高倍率ズームレンズの描写力の差というか・・・ 実際には両者を見比べての話なので、8400Fのスキャンファイルを単体で見れば充分綺麗なんですけどね。ちなみに、スキャン後にはPhotoShopでjpeg最高画質に保存しているんですが、この時のファイルサイズは大体5MB前後、DualIVで同じくjpegにしたものは10MB前後ありますので、この辺も画質面には影響しているように思います。まあ、フィルム面にきちんとピントを合わせるフィルムスキャナと、基本的に原稿台にフォーカスされているフラットヘッドスキャナを同じ土俵で比べてはいけないってことでしょうね〜




4.使用感 その2 (2005.06.19)

で引き続いて紙焼き写真のスキャンへ。こちらは結構枚数も多いので作業性(作業時間)と画質の落としどころをまず見極めようかと・・・ まず、写真を一度に何枚スキャンできるかという点ですが、色々とやってみた結果、L版のプリントは縦横を上手く(原稿台に横向き3枚、縦向き2枚)組み合わせて、合計5枚が限度。海外などでよく使われるハガキサイズはどう頑張っても3枚が限度でした。ワンパスマルチスキャン(マルチクロップ機能)は(マニュアルでは最低1cmは写真同士を離すようになっているんですが・・・)多少写真同士が近くてもちゃんと働いてくれますから、予想通り便利かと思ったんですが・・・ マルチクロップを設定すると、設定できるdpiの上限が600に制限されてしまうんです。同サイズへのプリントだけなら300dpiもあれば十分なんて良く聞きますが、今回は写真のデジタル化が目的ですし、この先何に使うか分からないので、もう少し高いdpiでスキャンしておきたいところ・・・ ってことで、今回はマルチクロップは使わないことにしました。
で、設定上スキャン時の最高画質は1600dpiになるんですが、これで原稿台全面をスキャンするといつまでたっても終わらない・・・どうも1時間オーバーと思われるんですが、途中で断念(^_^;) 1200dpiで試してみると、そこそこ良い感じで30分程度で5枚or3枚スキャンできましたから、まあココが妥協点かと。
ってことで紙焼き写真スキャン時の設定はこんな感じに落ち着きました。

実際には自動色補正や退色補正はプリントの状態によって設定を変えています。この辺を解除すると、上記30分が15分程度までは縮まるので、スキャン後にPhotoShopなどで補正すると割り切ってしまうのも良いかもしれません。なお、写真を並べる際に原稿台全面に広げず、上手くコンパクトに近づけてやると、原稿台全面をスキャンする必要がなくなりますから、多少はスキャン時間を短縮できます。まあ、この場合は上手く並べないと写真が斜めにスキャンされたりしちゃいますが・・・
上記設定でスキャン後は、PhotoShopCSに1枚の画像データとして取り込み(正確に言うと最初からPhotoShopのTWAIN機器として取り込んでいます)、そこから写真1枚ずつに画像を切り出し、必要に応じて補正したりしながら最高画質のjpegに保存する形でひたすら作業を繰り返します・・・ 画像のサイズは10MB/枚程度で、チリも積もれば・・・というヤツでHDDを圧迫(フィルムスキャン分も入れて、気が付いた時に数十GBになっていて結構あわてました)するは作業時間は掛かる(5枚で30分とはいえ、枚数が枚数ですから・・・今回はプリントだけで数千枚あったはず)は・・・ 結構大変な作業でしたが、紙焼き写真によっては既にかなり退色してしまっているものもありました(保存状態は同じでも、その時のプリントの質というか紙やインクの質で随分写真の状態に差があることが分かりましたねぇ・・・)から、良いタイミングでデジタル化が出来たように思います(思うようにしています)。





5.使用感 その3 (2005.06.22)

この辺でスキャナ使用時のPCの状況などに触れておきます。実際に上記のような感じで紙焼き写真をスキャンしている時にタスクマネージャーを開くと、こんな感じになっていました。

スキャン中、ある程度まではCPUにも余裕があるようですが、ある時点(特にPCにデータを送り込む時、のように決まってはいないように思います)からCPU100%使用になっちゃいます。こうなると、他の処理はかなり厳しいんですよね。DualIVの時はまだ余裕があったんですが、今回、スキャン中はほぼ余計なことをしないようにしていました。まあ、やろうと思えば出来ないこともないですし、実際に結構我慢すればメール送受信程度は可能ですけどね。
逆に気になったのが、紙焼き写真のPhotoShop処理。上で書いた1200dpiで原稿台全面をスキャンすると、大体容量が400MB程度になり、これを写真の部分だけ切り取ると6〜70MBになります。これを多少加工(縦位置写真を縦向きに変えたり、若干色味がおかしいものを補正したり、逆光で失敗した写真をリカバーしたり・・・)したりすると、かなり処理に時間が掛かります。といってもそれぞれ数秒〜数十秒ですが、枚数が多いので待ち時間が以上に長く感じられるんですよね・・・ RX62はここまで大きな画像ファイルを扱うつもりも無かったので、メモリがPC3200の512Bx2(Dual)ですから、これを増設してやれば大幅に改善するかとは思いますが・・・  う〜ん、メモリも安くなっているので、余り気になるようならちょっと考えます〜

全体を通して、スキャナそのものには性能・速度などの面で及第点かと思います。気になったのはお値段がもう少し安いといいなぁ・・・ という点と、サイズがもう少しコンパクトだといいなぁという点ぐらいですかねぇ 今回の紙焼き写真スキャンが終わってしまえばスキャナを使う機会もそれほど無いんですが、当面メインスキャナとして使っていきま〜す。

あ、そうそう、本体の電源を入れてからしばらく(室温にも左右されるようですが、3〜4月だと大体1〜2分かな)待たないとエラーが出て起動しませんのでご注意を。一瞬あせりますが、ちゃんと待ってやれば問題なく動作します〜